名古屋セントラル病院 ライソゾーム病センター センター長 坪井 一哉
尿素サイクル異常症は、体内で発生する有毒なアンモニアを、無害な尿素に変えるための重要な仕組み(尿素サイクル)が生まれつきうまく働かない病気の総称です。
主に肝臓で行われるこのサイクルに関わる酵素の遺伝子に異常があるために起こります。
尿素が作れず、血液中にアンモニアが異常に高濃度で溜まってしまう(高アンモニア血症)ことが最大の問題です。
アンモニアは脳にとって非常に有害なため、高アンモニア血症は、嘔吐、哺乳力の低下、痙攣、意識障害といった重篤な症状を引き起こし、命にかかわることもあります。
複数の病型があり、日本全体での患者数は多く見積もっても数百人程度と考えられています。最も多いオルニチントランスカルバミラーゼ(OTC)欠損症でも約8万人に1人の発症頻度です。

この病気は早期に診断し、生涯にわたって治療を続けることが非常に重要です。
アンモニアのもとになるタンパク質の摂取量を制限する食事療法と、体内に溜まったアンモニアを排泄させる特殊な薬を内服する薬物療法が基本です。
症状が重篤な急性期には、緊急で点滴や血液透析が行われます。コントロールが難しい場合は肝移植も検討されます。
高アンモニア血症は、感染症やタンパク質を多く接種した場合をきっかけに急激に悪化することがあります。なんとなく元気がない、ボーッとしているといった症状が出たら、すぐに医療機関を受診し、アンモニア値を測定して早期に治療を開始することが大切です。
食事療法は厳密ですが、不足する栄養素を補いながら、一生続けていく必要があります。
参考:難病センター https://www.nanbyou.or.jp/