名古屋セントラル病院 ライソゾーム病センター センター長 坪井 一哉
ムコ多糖症III型は、体に必要な酵素が生まれつき欠けているために、ヘパラン硫酸(HS)という物質が脳などの細胞内に過剰に溜まってしまう、遺伝性の病気です。
症状は2〜6歳頃に現れ始めます。最初は多動や乱暴な行動、発達の遅れなどが見られます。その後、症状は急速に進行し、7〜8歳頃までに言葉を話せなくなる(言語の消失)など、知的な能力が失われていきます。
他のムコ多糖症と異なり、骨や関節の変形は軽度で、身長はほぼ正常なことが多いです。
症状が進行すると、睡眠障害や痙攣発作が見られるようになり、10代で寝たきりになることが多く、多くの場合20代頃に亡くなる重篤な疾患です。

尿検査でヘパラン硫酸が過剰に排出されているかを確認し、最終的には血液などで酵素活性の低下を調べることで確定診断されます。
現時点では、確立された治療法はありません。
日本での発症頻度は約10万人に1人とされるまれな病気ですが、中枢神経の障害が重いため、早期の診断と症状を和らげるためのケアが重要になります。