“遺伝性血管性浮腫”って、どんな病気?

名古屋セントラル病院 ライソゾーム病センター センター長 坪井 一哉

“遺伝性血管性浮腫”って、どんな病気?

遺伝性血管性浮腫”と言う病気を聞いたことはありますか?

あまり耳慣れない病気でイメージが付きにくいかもしれませんが、感の良い人なら遺伝性の浮腫をきたす病気を想像されると思います。顔やのどに浮腫を繰り返す方や、原因不明のでお困りの方は、ぜひご覧ください。

概要

遺伝性血管性浮腫は、遺伝子の変異によって血液中の補体という免疫システムをコントロールするC1インヒビターというタンパク質の機能や量が低下し、全身に腫れやむくみ(管性浮腫)が起こる遺伝性の疾患です。国が定める指定難病の一つに認定されています。有病率は、欧米では50,000人に1人と報告されており、日本国内の推計患者数は約2,400人と考えられていますが、実際に診断された患者数は400~500人程度(2018年)で、多くの方が見過ごされたり、誤診されたりしている可能性が考えられます。

特徴

遺伝性血管性浮腫の主な特徴としては、
* 皮膚や粘膜が急に腫れたりむくんだりします。
* 腫れは全身のあらゆる場所に生じますが、多くは皮膚と消化管に起こります。
* 腫れは数日で消えるといわれています。
* 発作は繰り返し起こりますが、その頻度や程度はさまざまです。
* 特に、のどが腫れると呼吸困難になったり、窒息したりすることがあります。
* お腹が腫れると激しい腹痛が起こることがあり、また、吐き気や嘔吐、下痢もみられることがあります。
* 遺伝形式は、常染色体顕性(優性)遺伝です。有病率は欧米では、50,000人に1人と報告されています。
* ご家族・ご親族に似たような症状の方がいらっしゃることがある。
* ステロイド剤や抗アレルギー薬が無効である。

発作の誘因

遺伝性血管性浮腫の発作を引き起こす主な誘因として、次のようなものが知られています。
* 精神的ストレスや過労などの肉体的ストレス
* ケガや抜歯などの歯科治療
* 妊娠や生理
* 使用している薬(高血圧の治療薬や経口避妊薬:ピルなど)

これら様々な誘因が引き金となって、突然、全身に腫れやむくみ(血管性浮腫)や腹痛などの発作を起こすことがあります。

診断と治療

診断を適切に行えば、全身に腫れやむくみ(血管性浮腫)や腹痛の発作に備えることができます。家族歴や、これまでの発作の経過について確認したり、血液検査で、血液中のC1インヒビター活性C4濃度を測定したりします。必要に応じて、遺伝子検査も実施することがあります。

治療法は、急性発作発作予防の治療が確立されており、すでに保険適応になっています。重篤な発作を引き起こす前に早期に診断し、適切な治療をうけることが大切です。
原因不明の腫れやむくみ(血管性浮腫)、腹痛を繰り返すようでしたら、もしかすると遺伝性血管性浮腫かもしれません。お近くの病院や主治医にご相談ください。

遺伝性血管性浮腫の7つのチェックポイント

  1. 眼瞼、口唇、四肢などの皮下や粘膜の浮腫
  2. 浮腫は繰り返し起こり、痒みや発赤を伴わない
  3. 消化管の浮腫による腹痛、嘔吐、下痢など
  4. 咽頭・喉頭の浮腫による呼吸や嚥下困難など
  5. 精神的・肉体的ストレス妊娠歯科治療などで発作が誘発
  6. 家族歴がある(上記のような症状)
  7. C4およびC1インアクチベーター活性が低値