ファブリー病の診断における“7つのポイント”

名古屋セントラル病院 ライソゾーム病センター センター長 坪井 一哉

概要

ファブリー病は、α-ガラクトシダーゼA活性が欠損または低下することにより、ライソゾーム内にその基質であるグロボトリアオシルセラミドが進行的に蓄積することで生じる先天代謝異常症です。基質は血管内皮細胞、自律神経節、汗腺、腎、心筋、角膜などに蓄積し、肢末端痛腎不全蛋白尿心肥大(左室肥大)被角血管腫発汗障害(無汗症、低汗症)などが認められます。これらの所見と性別などにより病型は、古典型遅発型ヘテロ型の3つに分類されています。古典型は、小児期より発症し心障害、腎障害、脳血管障害などをきたし、遅発型は、成人期より発症し腎障害を主症状とする腎亜型、心障害を主症状とする心亜型に分類され、女性は、全例ヘテロ型に分類されています。

診断

ファブリー病の診断は、四肢末端痛、腎不全、蛋白尿、心肥大(左室肥大)、被角血管腫、発汗障害、角膜混濁、脳梗塞などの症状に加え、心筋や腎臓に認められるゼブラ小体(電顕)などを認めた場合、ファブリー病を疑う必要があります。これらの所見に加え、男性では、α-Gal A酵素活性の低下と、補助的診断としてα-GAL A(GLA)遺伝子変異を確認してファブリー病の診断を行います。女性では、酵素活性の低下を認めない場合があり、家族歴と臨床症状、遺伝子検査により総合的に診断を行う必要があります。

治療

ファブリー病に対する治療は、不足している酵素α-Gal Aを補充する酵素補充療法、または、低分子化合物によって変異酵素蛋白質を構造的に安定化させる薬理学的シャペロン療法承認されています。

現在までに様々な治療効果が報告され、予後の改善、臓器障害の抑制を示唆するデータが発表されています。しかし、すでに心機能障害や腎機能障害が進行していた症例では、臨床効果が期待しにくい報告もあり、早期診断および早期治療が重要と考えられます。

原因不明の左室肥大腎不全若年性脳血管障害などの患者さんを診療したとき、“7つのポイント”を参考に、ファブリー病を鑑別疾患の1つとして考えてください。皆さんのちょっとした“気づき”が患者さんの生命予後を大きく変えるかもしれません。

ファブリー病の診断のチェックポイント

家族歴について

血縁者に腎症状(腎不全、透析)、心症状(心肥大、心筋症、心不全)、若年性脳梗塞の症状のある方がいる。
または、それが原因で死亡した方がいる。

症状について(7つのポイント)

  1. 中枢神経症状(脳梗塞の既往)がある。
  2. 角膜混濁がある。
  3. 皮膚症状(被角血管腫)がある。
  4. 心症状(心肥大、心筋症、心不全)がある。
  5. 腎症状(蛋白尿、腎不全、透析)がある。
  6. 四肢疼痛がある(過去にあった場合も含む)。
  7. 汗が出にくい(低汗症)。

病理所見について

電顕増でゼブラボディが認められる。

ファブリー病の診断のチェックポイント